貨幣市場_03_貨幣需要
前回に引き続き、貨幣需要について詳しく勉強していきます。
貨幣需要には、「取引動機」による需要と「投機的動機」による需要があることを前回までに勉強しました。(ほかに、「予備的動機」というのもあるのですが入門マクロではあつかいません。)
取引動機
物を買う時には、貨幣と商品を取引しますので、貨幣が必要になります。たくさん物やサービスが売れる豊かな国では、取引の量もたくさんになるので貨幣需要が高くなります。取引動機による貨幣需要は、国民所得(GDP)に影響を受けているということです。
GDP「Y」が増えると、貨幣の取引的需要も増えます。
式にしたときには、以下のように書きます。
- 取引的需要:L1 = L1 ( Y )
貨幣需要のうち、取引動機によるものを「L1」と表します。(のちに「L2」があるからです。笑)
カッコのついた(Y)というのは『「Y」に関係してます』という意味です。
『取引的需要「L1」 は、GDP「Y」と関係があります』という、ただそれだけの式です。
ちなみに「L」は流動性を意味する「Liquidity」の略です。
グラフにすると、以下のような右上りの直線になります。
ここでは、右上りのグラフ(GDP「Y」が増えると、取引的貨幣需要「L1」も増える)になっていることがわかればいいだけです。ほかに気にすることはありません。
投機的動機
お金は現金で持っていてもいいですし、資産運用(投機)に回すこともできます。
たとえばお金を貸し出すとします。
もしも利子率が10%なら、返ってくるときに10%ぶん儲かるということです。現金として保有するよりも、貸し出したい人がたくさんいるでしょう。
では、もし利子率が0%だとしたらどうでしょうか。
全く儲けがないので、お金を貸す人はいません。現金でもっている方がましです。つまり、
- 利子率が上昇すると、現金の需要は低くなります。
- 利子率が低下すると、現金の需要は高くなります。
これも先ほどとおなじように式にしておきます。
- 投機的需要 L2 = L2( r )
小文字の「 r 」は「利子率」を意味しています。これは英語の「Rate」の略です。
カッコのついた( r )というのは『「r」に関係してます』という意味です。
『投機的需要「L2」 は、利子率「 r 」と関係があります』という、ただそれだけの式です。
これもグラフにしてみます。
こちらはさっきとは逆で、右下がりのグラフになっています。(利子率「 r 」が減少すると、投機的貨幣需要「L2」は増加します)
このグラフはちょっと変わった形になっています。
左端からグラフは右下がりになっていますが、途中から水平になっています。
これは「流動性の罠」とよばれているものです。
利子率には下限があります。(家族や友達は別として)普通利子率0%でお金を貸すひとはいないので、0%より少し高いところ以下には利子率はさがりません。
この下限がグラフの「 r 」です。(アンダーバーがついています。)
「流動性の罠」の部分では利子率が最低に低いので、貨幣への需要が最大になります。
***
※投機的動機については、利子率と債券価格の関係から説明がなされることもしばしばありますが、基本的な原則は本文中の説明と同じです。
初月無料で経理の仕事に役立つ150以上の動画が学べるサイト【Accountant's library】