政府支出乗数_02_政府支出乗数
前回は
- 乗数とは?
- 財政支出の波及効果とは?
について勉強しました。
1兆円の政府支出でも、世の中の人をぐるぐる回って、GDPをその1兆円以上に押し上げる、そんなストーリーを展開しました。
では、実際にその波及効果は何倍になるのか(乗数)を計算してみます。
おさらい
まずはおさらいから始めます。
マクロ経済学でもっとも重要な式は、
Y = C + I + G + X - M
でした。
また、この式に含まれているC(消費)を決定する式は、
C = C0 + c( Y - T )
消費=基礎消費+限界消費性向(所得ー税金)
です。
2つの式を巡りながら、Y(GDP)が増えていく、これを波及効果といいました。
2つの式をまとめて考える必要があるので、まずはこれらを1つの式にまとめます。
『Y = C + I + G + X - M』に
『C = C0 + c( Y - T )』を代入します。すると、
- Y* = C0 + c( Y - T ) + I + G + X - M
これを計算していくと、
- Y* = C0 + cY - cT + I + G + X - M
以前、財市場の均衡グラフを作ったときと同じ式です。
Y*が示してしるのは、2つのグラフが交わっているE点です。
cY を移項すると、
- Y* - cY = C0 - cT + I + G + X - M
左辺を Y でくくると、
- Y* ( 1 -c ) = C0 - cT + I + G + X - M
最後に「Y* =」のカタチにするために両辺を( 1 - c )で割ると、
- Y* = ( C0 - cT + I + G + X - M )
となります。
今回は、政府支出「G」を増やして、GDP「Y」を増やしたい!というストーリーでした。
増やした分の「G」を「ΔG」と表すことにします。
同じ様に、結果的に増えた「Y」を「ΔY」と表します。
政府支出を増やしたときの式は以下の様になります。
- Y* + ΔY = ( C0 - cT + I + ( G + ΔG ) + X - M )
グラフにしてみました。
Gを増やした時の式から、もともとの式を引けば、どれだけ増えたのかがわかります。
- Y* + ΔY = ( C0 - cT + I + ( G + ΔG ) + X - M )
から
- Y* = ( C0 - cT + I + G + X - M )
を引き算すると、
- ΔY = ΔG
となります。
これで、政府支出が「ΔG」増えたときに、GDPがどれだけ増えるか「ΔY」がわかります。
例えば、限界消費性向「c」が0.8のとき、 ==5
になります。
政府支出の増加分ΔGが1兆円なら、GDPの増加ΔYは5兆円になる、ということです。
このが「政府支出乗数」です。
限界消費性向「c」が具体的にわかれば、何倍になるのかがわかります。
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