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45度線分析_05_インフレギャップ・デフレギャップ

前回、YsとYdのグラフを重ね合わせ、均衡GDP「Y*」を明らかにしました。

 

「財市場の供給」=「Ys」
「財市場の需要」=「Yd」
Ys = Y(三面等価の生産面)
Yd = C+I+G+(EX-IM)(三面等価の支出面)

 

もういちど、大事なポイントの確認を。

  • Ysは「供給」=「生産された価値」
  • Ydは「需要」=消費+投資+政府が使うお金+輸出-輸入(生産された価値に対しての支出)

でした。

 

では、もしもこの供給と需要が釣り合わなかったらどうなるのでしょうか?

つまり、供給=「生産した分」よりも、需要=「欲しい分」が少なかったら?

または、供給=「生産した分」よりも、需要=「欲しい分」が多かったら?

 

前回得た均衡GDP「Y*」が「釣り合っている状態」を表しています。

しかしながら、現実世界では、常に作った分を誰かが欲っしているというわけではありませんよね。

作ったけど余るときもあれば、欲しいひとがいっぱいいるのに作る量が足りない、ということも起こるわけです。

この現象について、45度線分析をつかって国レベルのスケールで分析していきます。



完全雇用GDP

この需要と供給が釣り合わない状態を考えるために、完全雇用GDPという言葉を定義しておきます。

これを「Yf」とします。

「Yf」はその名前のとおり、「完全雇用が達成されているときのGDP」です。

もっとくだけた言い方をすると、

「働きたい人が全員働いたときに生産される価値の合計」です。

みんなで働いたときに生産されるGDPが「Yf」です。



インフレギャップ

前回つくったグラフをもとに考えてみましょう。

前回作ったグラフはこうでした。

YsとYdが一致しているところが均衡GDP「Y*」です。

 

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ここに適当に「Yf」を置いてみましょう。

この「Yf」の位置に特に意味はありません。適当においただけです。

 

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「Yf」の延長線上をみてみましょう。

①は「Yd」つまり需要との交点。

②は「Ys」つまり供給との交点です。

 

需要①の方が供給②よりも上にあるのがわかるでしょうか。

需要のほうが供給量を上回っている、「超過需要」の状態です。

 

みんなが働いた時に、生産される量よりも求められる量の方が多い状態ですね。

これがインフレギャップです。

需要に応えるためには、みんながもっともっと働かなければなりません。

これは景気が加熱している状態とも言えるでしょう。




デフレギャップ

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反対に、「Yf」をもっとグラフの右側に置いてみましょう。

すると今度は、供給②の方が需要①よりも上にきています。

これは供給量のほうが需要を上回っている、「超過供給」の状態です。

欲しい量よりもたくさん作ってしまった状態ですね。

これがデフレギャップです。

作っても物が売れないので、不況といえるでしょう。

生産してもしょうがないので、生産量を控え、そのために失業やリストラが起きるかもしれません。



財政政策による調整

このように、インフレギャップやデフレギャップが起きてしまうのは、望ましいことではありません。

100つくったら100売れる、というのがやっぱり理想ですよね。

100つくったのに130欲しいひとがいる。とか、

100つくったのに70しかない!っていうのはなんだかもったいない感じがします。

 

そこで活躍するのが政府です。

政府は財政支出「G」や、人々から集める税金「T」を調整して、このギャップを解消することができます。

※一般的に税金をコロコロ変えるのは政府の対応としては望ましくないので、ここでは「G」についてだけ考えることとします。

このように、政府が景気の調整を目的として財政支出を変化させることを「財政政策」とよびます。

例えば、オリンピックのために競技場を国の予算でつくったりするのがこれに当たります。

基本的に財政政策というと、土木作業(道路を作ったり、インフラ整備)が多いですね。

財政政策「G」は財市場の需要「Yd」の切片に含まれていました。

もう一度グラフを確認してください。

 

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インフレギャップにたいする財政政策

たとえばインフレギャップが起きている場合。

つまり景気が加熱しすぎている場合です。

政府は「G」を減らして、需要を減少させます。

「G」は財市場の需要「Yd」の切片に含まれていますので、「G」が減少するとYdは下方向にシフトします。

均衡GDP「Y*」が「Yf」と一致するようになれば、つまりギャップが解消されるというわけです。

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デフレギャップにたいする財政政策

デフレギャップの場合は反対です。

不況が起きているので、政府は支出を増やして需要を刺激します。

「G」は財市場の需要「Yd」の切片に含まれていますので、「G」が増加するとYdは上方向にシフトします。

均衡GDP「Y*」が「Yf」と一致するようになれば、つまりギャップが解消されます。

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政府はこんな風にして需要を刺激して、バランスのいい状態を保つ役目があるのです。