マクロ経済学とGDP
マクロ経済学
マクロとは、簡単に「大きい」という意味です。
つまりマクロ経済学は「経済を大きな視点からみる経済学」ということで、具体的には国全体の経済、世界全体の経済をみることが多くなります。
経済学にはミクロ経済学と呼ばれるものもあって、そちらは「小さい」単位、1つの業界や、企業の経済活動について分析します。
GDP
国全体の経済について考えるためにはどうしたらいいのでしょうか?
そこで登場するのが「GDP(Gross Domestic Product)」という概念です。
GDPを使うと、ある国の経済の大きさや豊かさを知ることができます。
GDPは次のように定義されています。
『ある一定期間(1年間)にある国の国内で生産された全ての財・サービスの付加価値の総和』
例えば日本の場合、2014年度の
というように使ったりします。「名目」「実質」についてはそのうち説明します。
GDPが落ち込むのが「不況」、GDPが増加傾向にあると「経済成長」です。
GDPは3ヶ月(四半期)ごとに発表され、その度に新聞やTVでトップニュースになるくらいに今では当たり前の指標になっています。
GDPの大きな国は小さな国に比べて、栄養状態がよく、医療技術も発達し、治安もよく安全で、従って人々の寿命も長くなります。
マクロ経済学を理解するためにはまずGDPについて理解する必要があります。
まずはその定義を3つに分けて、それぞれ詳しく確認していきましょう。
- ある一定期間(1年間)に
- ある国の国内で生産された全ての財・サービスの
- 付加価値の総和
フローとストック
最初のポイントから見ていきましょう。
『ある一定期間(1年間)に』
時間とともに変化する量について考えるときには、それが「フロー」と「ストック」のどちらであるかにまず注目します。
フローとは「ある一定期間に動いた量」
ストックとは「ある時点の貯蔵量」
です。
よりイメージを簡単にするために、おふろを使って考えてみましょう。
- 蛇口から1分間に10リットル水が出てきます。これはフローです。
- 10分後、浴槽には100リットルの水が溜まっています。これはストックです。
「期間」と「時点」がフローとストックを区別するカギです。
- 「1分間」という期間に出てくる10リットルがフローで測った水の量です。
- 「10分後」という時点で浴槽にある100リットルがストックで測った水の量です。
つまり、期間を決めておいて、その期間の間にどれだけ動いたのか、これがフローの意味です。
ではGDPはフローとストックどちらにあたるのでしょうか?
定義に戻って考えてみます。GDPは 『ある一定期間(1年間)に』というのがポイントでした。
GDPはフローなのです。
GDPはその国の豊かさを表す指標で、豊かさは蓄積されるようなイメージあるので意外な感じがするかもしれません。
しかし、現代の豊かさは、1年間(期間)でどれだけの取引がされたか(お金が動いたか)によって量られるのでフローなのです。
付加価値
2番目は一旦置いといて、3番目を考えてみます。
『 付加価値の総和』とはいったいなんなのでしょうか?
付加価値とは「新たに付け加えられた価値」です。
ここでもイメージしやすいように例を使って考えてみます。
農家・繊維業者・アパレル業者だけが存在する国があったとします。
- 農家が100万円分のわたを生産します。
- 繊維業者はそのわたを買って、糸に加工すると150万円で売ることができます。
- アパレル業者はその糸を買って服をつくって全部売ると、200万円になりました。
全て足し算すると100万円+150万円+200万円で450万円になります。が、これは付加価値の合計ではなく、単に取り引きされた額の合計です。
- 農家は(実際にはあり得ませんがここでは)何もないところからわたを生産したので、ゼロから100万円の価値を生み出したことになります。
- 繊維業者はそのわたを糸に加工することで100万円のわたを 150万円にしました。50万円分の価値を生み出し、付け加えたのです。
- アパレル業者は150万円の糸を200万円分の服にすることで、さらに50万円分の価値を生み出し、付け加えました。
まとめ
以上を踏まえて、GDPについてもう一度おさらいしてみます。
- ある一定期間(1年間)に
- ある国の国内で生産された全ての財・サービスの
- 付加価値の総和
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